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システム開発

プロジェクト計画書の書き方と記入例、作成手順

プロジェクト計画書の書き方と記入例、作成手順

プロジェクト計画書を書くときは、最初に目的とゴールを書き、最後の変更時のルールまで、6つの項目を順に埋めていきましょう。

 

システム開発を受託して書く場合は、開発会社側の作業だけでなく、発注側が担当する作業と、発注側が確認・承認する日も計画書に入れておきます。

プロジェクト計画書とは

プロジェクト計画書とは、プロジェクトの目的・作るもの・成果物・体制・スケジュール・予算・変更時のルールを、作業を始める前に文書にまとめたものです。関係者はこの文書を見て、何を作り、誰がいつ何を確認するのかを同じ前提で進めます。

 

システム開発を受託する場合、開発会社は提案書や計画書で開発の進め方を示します。作業スケジュールと役割分担は、発注側と契約で取り決めます(情報サービス産業協会「ソフトウェア開発委託基本モデル契約書」第4条)。計画書のスケジュールと体制は、契約の内容とそろえて書きましょう。

プロジェクト計画書は、関係者が違う前提で動くのを防ぐために書く

プロジェクト計画書が必要なのは、関係者が違う前提で動き出すのを、作業に入る前に防ぐためです。

 

システム開発では、発注側・開発会社・利用部門・承認者など、複数の関係者が関わります。それぞれが違う前提で動くと、「この機能も含まれていると思っていた」「この日までに返答が必要だと知らなかった」といった問題が起きてしまいます。

 

プロジェクト計画書は、予定どおりに進めるためだけのものではありません。途中で変更が出たときに、費用・納期・作業範囲を見直すための基準にもなります。

要件定義書は作るものの中身、プロジェクト計画書は進め方を書く

プロジェクト計画書と混同しやすい文書は、要件定義書とプロジェクト憲章です。要件定義書にはシステムに求める機能と条件を書き、プロジェクト計画書にはそれをどう作り進めるかを書きます。

 

用語 意味
プロジェクト計画 目的、範囲、予算、スケジュール、役割、リスクなどを決める考え方・進め方
プロジェクト計画書 プロジェクト計画の内容を文書にしたもの
要件定義書 システムが実現しなければならない機能と、品質・移行・運用など機能以外の条件をまとめた文書
プロジェクト憲章 プロジェクトの発足を正式に承認し、責任者(プロジェクトマネージャー)に権限を与える文書。発注側が発行する
プロジェクトスコープ 作業範囲や成果物の範囲
作業計画 実際のタスクや作業手順を落とし込んだ計画

プロジェクト計画書に書く項目と記入例

プロジェクト計画書に書く項目は、目的とゴール、作るもの・作らないもの、成果物、体制と役割、スケジュールと予算、変更時のルールの6つです。

予約管理システムを例にした6項目の記入例

電話で受けている予約をWebで受け付けるためのシステムを作る場合、6つの項目に何を書くかを表にしました。金額や日付は案件ごとに違うため、スケジュールと予算の欄には、何を書くかだけを示しています。

 

項目  書くこと 記入例(予約管理システム)
目的とゴール 改善したい業務とその理由、達成したと判断する状態
  • 目的:電話予約の対応時間を減らす
  • ゴール:利用者がWeb上で予約・変更・キャンセルでき、管理者が予約状況を画面で確認できる
作るもの・作らないもの 今回作る機能と、作らない機能(対象外)
  • 作るもの:予約登録、予約変更、予約キャンセル、管理画面
  • 作らないもの:決済機能、会員ランク機能
成果物 納品する画面・システムと資料 利用者が予約する画面、管理画面、設計書、テスト結果、操作説明資料
体制と役割 開発会社側と発注側の担当者、確認者、承認者
  • 開発会社側の担当者
  • 発注側の窓口担当者、利用部門の確認者、仕様変更の判断者、費用と納期の承認者(それぞれ氏名と、何を判断する人かを書く)
スケジュールと予算 作業期間と区切りの日、発注側の確認・承認日、見積もりに含む作業
  • 要件・設計・画面・テスト結果を発注側が確認する日と、リリースを判断する日
  • 見積もりに含む作業(要件整理、設計、開発、テスト、操作説明資料の作成)と、打ち合わせ・修正対応の回数
変更時のルール 変更の依頼方法と承認者、費用・納期への反映、変更内容の記録先
  • 仕様変更は文書で依頼し、発注側の承認者が費用と納期への影響を見て決める
  • 反映する前に見積もりを出す
  • 決定事項は共有の記録に残す

目的・作らないもの・承認者・変更時のルールが抜けると判断が止まる

以下の項目が抜けると、作業の途中で判断が止まってしまいます。

 

抜けた項目 起きること
目的 「予約管理システムを作る」だけでは、電話対応を減らしたいのか予約ミスを減らしたいのかがわからず、機能を足すかどうかの判断がぶれる
作らないもの 打ち合わせの途中で出た「この画面も追加したい」が、見積もりに含まれるのか、追加費用になるのかを判断できない
承認者 追加機能の見積もりが出ても「この金額で進めるか」を決める人がおらず、発注側の社内で確認が止まる。その間、開発会社も次の作業に進めない
変更時のルール 口頭で頼んだ変更がどこまで含まれるのかで認識がずれ、「そこまで含まれていると思っていなかった」という行き違いが起きる

プロジェクト計画書の作成手順(6ステップ)

プロジェクト計画書は、次の6つのステップで書きます。先に書いた項目が、次の項目を決める基準になります。

 

プロジェクト計画書の作成手順を6ステップで示した図

 

体制と役割をスケジュールより先に書くのは、発注側の確認日をスケジュールに入れるには、誰が確認し、誰が承認するのかが先に決まっている必要があるからです。目的より先に機能の一覧を作ると、業務の改善に関係の薄い機能まで入ってしまう場合があります。

1. 目的とゴールを書く

最初に書くのは、目的とゴールです。目的には改善したい業務とその理由を、ゴールには達成したと判断できる状態を書きます。「システムを作ること」を目的にせず、どの業務をどう変えたいのかを言葉にしましょう。

 

ゴールは「予約状況を管理画面で確認できる」「予約一覧をCSVで出力できる」のように、見て確かめられる形で書きましょう。完成したときに達成できたかどうかを、関係者が同じ基準で判断できるためです。

 

目的とゴールが書けていれば、後から機能を追加するか迷ったときも、業務の改善に関係する内容かどうかで判断できます。

2. 作るもの・作らないものを書く

目的とゴールを書いたら、今回作るものと作らないものを分けて書きます。作らないものには、打ち合わせで話に出たものの、今回は対象外にした機能を書いておきましょう。

 

作らないものを書くのは、要望を切り捨てるためではありません。初回で作る機能と、後から検討する機能を分けるためです。この区分があれば、追加の依頼が来たときに、今回の見積もりに含まれるのか、別の見積もりになるのかを判断できます。

3. 成果物を書く

作るものが決まったら、納品する成果物を書きます。完成したシステムだけでなく、設計書・テスト結果・操作説明資料のように、作業の途中や最後に渡す資料も成果物として書いておきましょう。

 

成果物 計画書に書くこと
画面 利用者が使う画面の一覧
管理画面 管理者が予約状況を確認・変更する画面
設計書 合意した機能や画面を、どの資料に残すか
テスト結果 どの操作を確認した結果を渡すか
操作説明資料 誰が使うための資料か(利用者向けか、社内の担当者向けか)

 

成果物を具体的に書いておかないと、納品のときに、何がそろえば完了なのかを判断できなくなってしまいます。

4. 体制と役割を書く

体制と役割には、作業する人だけでなく、確認する人と最終的に判断する人も書きます。開発会社側の担当者に加えて、発注側の窓口担当者・確認者・承認者も書いておきましょう。

 

システム開発では、開発会社が設計や開発を進めても、業務の中身は発注側が判断する場面があります。たとえば予約のキャンセル期限、管理者が見られる情報、通知を送る条件などは、発注側の判断が必要です。

 

計画書には、次の役割ごとに担当者を書きます。

 

  • 開発会社との窓口になる担当者

  • 利用部門に確認する担当者

  • 仕様変更を判断する人

  • 追加費用を承認する人

  • リリースしてよいかを判断する人

 

承認者が書かれていないと、判断が必要な場面で作業が止まってしまいます。

5. スケジュールと予算を書く

体制が決まったら、次はスケジュールと予算です。スケジュールには作業期間と区切りの日を書き、その中に発注側の確認日と承認日も入れます。予算は金額だけでなく、見積もりに含む作業と含まない作業を分けて書きましょう。

 

見積もりに含む作業として書いておきたいのは、次のような内容です。

 

  • 要件整理や打ち合わせの回数

  • 画面や機能の数

  • 修正対応の回数

  • テストや受け入れ支援の範囲

  • 操作説明資料を作るかどうか

 

予算とスケジュールは、作るものの範囲と連動します。たとえば、予約管理システムに「メール通知機能も追加したい」と後から依頼された場合、その分の開発費用が増えるだけではなく、動作確認やテストの期間も延びる可能性があります。

 

スケジュールの区切り方を決める基準は、案件で採用している開発手法です。受託開発では、アジャイル開発かウォーターフォール開発かによって、契約の形が変わります。開発手法は、契約を結ぶ前に発注側と合意しておきます(情報処理推進機構「情報システム・モデル取引・契約書(アジャイル開発版)」)。

 

ウォーターフォール開発なら、要件定義・設計・開発・テストの工程順に区切りの日を置き、要件定義書や外部設計書(画面や帳票などの設計)の確定、納品物の検収といった区切りごとに、発注側の確認日を入れましょう。

 

アジャイル開発なら、一定の期間で区切った開発(スプリント)を繰り返すため、スプリントが終わるごとに、発注側が成果を確認する日を入れます。

6. 変更時のルールを書く

最後は、変更時のルールです。システム開発では、計画どおりに進めていても、途中で要望が増える・確認が遅れる・外部サービスの仕様が変わるといったことが起こります。

 

すべてを防ぐことはできないため、「途中で機能を追加したくなったらどうするか」「発注側の確認が遅れたら納期はどうなるか」「外部サービスの変更で仕様を見直すときは誰が判断するか」のように、起こりそうな場面ごとの手続きを先に書いておきます。

 

計画書に書いておきたいのは、次の内容です。

 

  • 仕様変更を依頼する方法

  • 変更内容を誰が確認し、誰が承認するか

  • 追加費用が発生する条件

  • 納期が変わる条件

  • 変更内容をどこに記録するか

 

連絡の方法も、内容によって分けて書いておきましょう。日々の質問はチャットで受け、仕様変更や追加費用の承認はメールや文書で残すと決めておけば、後から誰が何を了承したのかを確かめられます。

 

変更時のルールが書かれていれば、追加の要望が出たときも、費用・納期・優先順位を見直して判断できます。

受託開発の計画書には、発注側の作業と確認・承認日も書く

システム開発を受託して計画書を書くときは、開発会社側の作業だけでなく、発注側が担当する作業と、発注側が確認・承認する日も書きます。発注側の作業や確認が遅れると、開発会社も次の作業に進めないためです。

 

情報サービス産業協会のモデル契約書(第8条)でも、発注側と開発会社の双方にそれぞれの分担作業があるとし、分担作業を遅らせた側は、そのことについて相手方に責任を負うと定めています。

発注側が担当する作業を役割分担に書く

発注側が担当する作業は、開発会社側の作業と同じ表に並べて書きましょう。情報サービス産業協会のモデル契約書(第9条・第39条)では、作業に必要な資料の提供や、要件定義書の確定・納入物の検収は発注側が行うことになっています。

 

担当 計画書に書く作業
発注側 業務要件の説明、既存資料の提供、利用部門への確認、承認
開発会社側 要件整理、設計、開発、テスト、資料作成
利用部門 画面や業務フローを確認する

 

発注側の作業に担当者と期限が書かれていないと、必要な資料や回答がそろわず、開発会社の作業が止まってしまいます。

発注側の確認・承認日をスケジュールに書く

スケジュールには、開発会社の作業期間と並べて、発注側が確認・承認する日を書きます。書いておきたいのは、以下の日です。

 

  • 要件を確認する日

  • 設計内容を確認する日

  • 画面や機能を確認する日

  • テスト結果を確認する日

  • リリースしてよいかを判断する日

 

日付だけではなく、確認する人と確認にかける日数も書いておきましょう。たとえば、設計書を送ったのに発注側の担当者が不在で確認が数日止まると、その間は開発会社も次の作業に進めず、納期が後ろにずれてしまいます。承認者が忙しい場合は、計画書を書く時点で確認日を押さえておきましょう。

発注側がプロジェクト計画書で見るのは、要望が目的と作るものに入っているか

プロジェクト計画書を受け取る発注側の担当者が見るのは、自社の要望が、目的・作るもの・成果物に書き込まれているかです。要望がそのままの文章で載っているかではありません。

 

たとえば、「電話予約の対応時間を減らしたい」という要望がある場合、計画書には以下の内容が入っている必要があります。

 

  • Webで予約登録できる
  • 利用者が予約を変更・キャンセルできる
  • 管理者が予約状況を確認できる
  • 電話対応が残るケースが整理されている

 

自社で困っている業務が変わる内容になっているかを基準にして、確認しましょう。

まとめ

プロジェクト計画書の項目は、最初に書く目的とゴールを基準に決めていきます。受託開発では、そこに発注側の作業と確認・承認日を加えます。

 

まずは記入例の表を見ながら、自分の案件の目的とゴールを1行ずつ書き出してみてください。