Claudeのプロジェクト(Projects)は、目的に合わせたルールや定義、資料(ナレッジ)を事前に設定することで、長期的なプロジェクト作業を効率化できる機能です。
通常のチャットでは毎回伝えていた情報やルールをプロジェクトとしてまとめておけるため、より効率的かつ安定したやり取りが可能になります。
とはいえ、「どう作るの?」「どうすれば使いこなせるの?」と悩む方もいるのではないでしょうか?そこで本記事では、Claudeプロジェクトの作り方や使い方のコツを、活用サンプルも含めてわかりやすく解説します。
Claudeプロジェクトの利用手順
プロジェクトの作成から活用までの流れを、具体的な手順で紹介します。ここでは一例として、まったく知らない単語や概念をゼロから理解するためのプロジェクト「はじめて学ぶ用語の解説プロジェクト」を、実際に作成しながら解説していきます。
プロジェクトを作成する
プロジェクトは次の5ステップで作成できます。順に見ていきましょう。
- Claudeにログインする
ブラウザやアプリから、Claudeにログインします。
- プロジェクト画面に移動する
メニューから「プロジェクト」をクリックし、「新規プロジェクト」をクリックします。
- プロジェクトを作成する
プロジェクトの名前と目的を入力し、「プロジェクトを作成」をクリックします。
ここでは「はじめて学ぶ用語の解説プロジェクト」を作るので、それぞれ次のテキストを入力しています。
- プロジェクトの名前:はじめて学ぶ用語の解説プロジェクト
- プロジェクトの目的:自分の理解を助けるために、ある単語について辞書のような意味の解説だけでなく、関連する情報についても図などを含めてわかりやすく出力するプロジェクト
テキストを入力して「プロジェクトを作成」をクリックすると、「はじめて学ぶ用語の解説プロジェクト」が作成されました。
- プロジェクトの指示を設定する
プロジェクト作成ができたら、「手順」をクリックしてプロジェクトの指示を設定します。
「プロジェクトの指示を設定」にプロジェクト指示を入力します。
「はじめて学ぶ用語の解説プロジェクト」では「単語を質問したら、その単語について調べた結果を回答する」としたいです。そのため「プロジェクトの指示を設定」に、次のように入力します。
送られた単語に対して、次のステップで百科事典の項目を書いてください。 分かりづらい箇所には図解を含めてください。 ———— ステップ1:アウトラインを作成する ステップ2:アウトラインにしたがって、各項目を詳細かつ包括的に記述する |
プロジェクトの指示を入力後に「指示を保存」をクリックすると、設定した文章が「手順」に表示されます。
- 読み込ませたいファイルをナレッジに追加する
事前にClaudeに渡したい情報をナレッジに追加します。
「ファイル」の横にある+ボタンをクリックし、資料の参照方法を選択します。ナレッジの追加方法はいくつかあるので、適するものを選択しましょう。「はじめて学ぶ用語の解説プロジェクト」ではテキストを追加するため、「テキストコンテンツを追加」をクリックします。
「テキストコンテンツを追加」が表示されたら、タイトルとコンテンツの内容を入力しましょう。「はじめて学ぶ用語の解説プロジェクト」では、以下のテキストを入力します。
タイトル:出力ガイドライン
コンテンツ:
⚫︎基本の流れ ステップ1:アウトライン作成 5つの構成要素に分けて整理する ステップ2:HTMLアーティファクトで視覚的に実装 豊富なビジュアル要素で読みやすく美しく仕上げる 初心者がわからない内容であれば、必ずしも基本構成全てを出力する必要はない ⚫︎5つの基本構成 定義・概要 – 何かを明確に説明 分類・種類 – 体系的に整理 仕組み・構造 – どう動くか、何でできているか 応用・実例 – 実際の使われ方、具体例 影響・意義 – 社会や生活への影響 |
テキスト入力後に「コンテンツを追加」ボタンをクリックすると、ナレッジへの追加が完了します。
これでプロジェクトの作成が完了です!
コラム:最初は無理にナレッジを追加しなくても良い
ナレッジは後から追加や修正が可能です。使っていくうちに必要なものがわかることもあるので、もし何を入れれば良いかわからなければ、無理に作成時にナレッジを加える必要はありません。
プロジェクトを使う
プロジェクトを作成したら、実際に使ってみましょう。わずか2ステップで、簡単に使えます。
- 質問を送信し、回答を確認する
作成したプロジェクトの中で、質問を送信します。事前に設定したプロジェクト指示および追加したナレッジの内容については、すでにClaudeが認識しているため、質問に含めなくてOKです。
「はじめて学ぶ用語の解説プロジェクト」では、調べたい単語を送信すると、事前に設定した内容に沿って、その単語を解説してくれるように設定しています。ここでは「コーヒー豆」と入れて「↑」ボタンをクリックすると、回答が出力されます。
回答の中にある「インタラクティブアーティファクト」をクリックすると、用語の解説が表示されます。
コラム:インタラクティブアーティファクトって何?
Claudeにおける「インタラクティブアーティファクト」とは、クリックやタップなどの操作に反応する“動きのある要素”を表現できるような出力のことです。
インタラクティブアーティファクトをクリックして表示されたものには、カーソルを合わせたり、タップしてみたりすると、動きや変化がある要素が含まれていることがあります。
毎回必ずそういった要素が表示されるとは限りませんが、ぜひマウスを当てたりタップしたりをしてみてください。
- 質問を続ける
通常のチャットのように、回答に気になる点があれば再度質問をして対話を続けられます。
「はじめて学ぶ用語の解説プロジェクト」では「日本のコーヒー豆の栽培」について、追加で質問してみました。
回答スタイルをカスタマイズする
Claudeには、回答のスタイルや思考の深さをカスタマイズできる機能が用意されています。この設定をすると、より自分に合った回答を得られやすくなります。
※これらの機能は、プロジェクトだけでなくClaudeの通常チャットでも設定できます。
「スタイルを使用」機能
この機能では、回答の表現方法を変更できます。次の5つがプリセットされており、デフォルトでは「標準」が選択されています。さらに、自分の好みに合わせた新しいスタイルの追加も可能です。
- 標準
- 学習
- 簡潔
- 説明的
- 丁寧
「もう少しカジュアルに話してほしい」「説明をコンパクトにまとめてほしい」といった場面では、スタイルを変更すると、より意図に沿った回答が得られるようになります。
設定方法は、チャット画面の左下にある「検索とツール」ボタンをクリックし「スタイルを使用」をクリック、変更したいスタイルをチェックするだけです。
「じっくり考える」機能
この機能では、Claudeの思考の深さを変更できます。
オンにすると通常よりも回答までに時間がかかりますが、Claudeがより丁寧に思考を深めたうえで回答を出力してくれます。複雑な課題を扱う場合や、根拠や理由づけを含めてしっかり考えてほしいときに活用すると効果的です。
設定方法は、チャット画面の左下の「検索とツール」ボタンをクリックし、「じっくり考える」をオンにするだけです。
すぐに使える!Claudeプロジェクトサンプル2選
「使い方はわかったけど、どのようなプロジェクトを作ればいいのかわからない」
そんなときは、すでに形になっているサンプルを試してみるのがおすすめです!ここでは、筆者が作成した、すぐに活用できるプロジェクトサンプルを2つご紹介します。
理解を深める図解作成プロジェクト
このプロジェクトは、「⚫︎⚫︎について、ある程度わかっているつもりだけどうまく説明できない」というときに使います。前述の「はじめて学ぶ用語の解説プロジェクト」では単語や概念の意味をゼロから理解することに向いているのに対し、こちらは情報を整理し直し、頭の中を可視化するためのプロジェクトです。
- プロジェクト指示
次のテキストを貼り付けてください。
# ビジュアル図解作成アシスタント カスタム指示 あなたは複雑な概念やアイデアを直感的に理解できる図解を作成する専門アシスタントとして動作します。
## 主要動作指示 ユーザーからの任意のインプット(概念、プロセス、関係性、システム、理論など)に対して、以下を実行してください: 1. **包括的な分析**:インプットの核心要素、関係性、階層構造、流れを完全に理解し、視覚化に必要な全ての要素を特定する 2. **参考資料の活用**:プロジェクトナレッジに含まれる見やすい資料、優れた図解例を詳細に分析し、以下の要素を抽出して活用する – 色彩選択とパレット構成 – レイアウト構造と要素配置 – フォント選択と文字階層 – 視覚的スタイルとトーン – インタラクティブ要素の実装方法 – 情報の整理・分類手法 1. **最適な図解形式の選択**:内容に応じてSVG、Mermaidダイアグラム、HTML+CSSビジュアライゼーションから最も効果的な表現方法を選択する 2. **詳細で機能的な図解作成**:基本を超えて、可能な限り多くの関連要素、詳細情報、インタラクティブ機能を含めた完全な機能を備えた実装を作成する
## 出力要件 – **視覚的階層**: 重要度に応じた明確な視覚的階層を構築 – **参考資料準拠の色彩設計**: ナレッジの優れた事例から学んだ色使いや配色パターンを適用し、意味を持つ色分けと現代的な配色を使用 – **スタイル一貫性**: 参考資料で効果的だった視覚的アプローチやデザインパターンを採用 – **インタラクティブ要素**: ホバー効果、クリック操作、アニメーションを適切に実装 – **詳細情報**: 各要素に説明テキスト、関係性の明示、補足情報を含める – **レスポンシブ対応**: 様々な画面サイズで適切に表示される設計
## 品質・詳細度の指定 遠慮せずに、全力を尽くしてください。単純な図ではなく、ウェブ開発能力を示す印象的なデモンストレーションレベルの図解を作成してください。思慮深い詳細(マイクロインタラクション、トランジション、視覚的フィードバック)を追加し、デザイン原則(階層、コントラスト、バランス、動き)を適用してください。 プロジェクトナレッジに含まれる参考資料の優れた特徴を積極的に取り入れ、それらの資料が持つ「見やすさ」「分かりやすさ」の要因を分析して再現してください。各図解は教育的価値と視覚的インパクトの両方を最大化し、複雑な概念を一目で理解できる直感的な表現を目指してください。必要に応じて複数の視点や詳細レベルを提供し、段階的な理解を促進する構造を作成してください。 |
- ナレッジ
自分が理解しやすいと感じた資料(PDF、ドキュメントなど)を追加します。プロジェクト指示に「ナレッジに入っている資料が自分にとって見やすいので参考にして欲しい」という記載をしているので、ナレッジを追加していくことでより良い回答が得られやすくなります。
- 質問を送信
「理解を深めたい単語やキーワード」を質問しましょう。
この画像は、「生成AIの歴史」と質問したときの回答を一部抜粋したものです。時系列が視覚的に見やすく、理解しやすい回答が出力されました。
コラム:出力された資料をナレッジにする方法
出力された図解がわかりやすい、見やすいと思ったらその資料をナレッジに追加できます。
設定方法は図解の上にある「コピー」の横にあるボタンをクリックし、「プロジェクトにコピー」をクリックすればナレッジに追加されます。
プロジェクト指示(プロンプト)の作成プロジェクト
このプロジェクトは「プロジェクトを作りたいけれど、プロジェクト指示をどのように書けばいいのかわからない」というときに使います。
目的や使いたいシーンを入力するだけで、Claude向けに最適化されたプロジェクト指示(プロンプト)を自動で作成してくれます。1つ目のサンプルである図解プロジェクトの指示文も、実はこのプロジェクトを使って作成しています。
- プロジェクト指示
次のテキストを貼り付けてください。
# カスタム指示作成アシスタント ## あなたの役割 ユーザーがプロジェクトの概要を入力したら、Claude 4のベストプラクティスを活かした効果的なカスタム指示を作成してください。
## 処理手順 1. ユーザーの入力からプロジェクトの目的と要求を理解する 2. 追加の質問は行わず、即座にカスタム指示を生成する 3. 以下の特徴を持つカスタム指示を出力する
## 作成するカスタム指示の要件 – Claude 4に最適化された明示的で具体的な指示 – 期待する動作を詳細に記述 – 品質向上を促す修飾子を含む(「可能な限り多くの関連機能」「完全な機能を備えた実装」など) – 適切な出力フォーマットを指定 – プロジェクトにすぐ使用可能な完成された形
## 想定される入力例 – 「データ分析レポート作成のプロンプト」 – 「プログラミング学習支援」 – 「マーケティング戦略立案のアシスタント」 – 「文章校正と改善提案」 – 「インプットに図解を表示するプロンプト」
## 出力フォーマット ` # [プロジェクト名] カスタム指示 あなたは[具体的な役割]として動作します。 [明示的で具体的な動作指示] [出力フォーマットの指定] [品質・詳細度の指定] ` |
- ナレッジ
こちらのページの情報をナレッジに登録します。
このページは、Claudeのサービスを運営しているAnthropic社が公開した「どのようなプロンプトにすれば、良い回答が得られるか」という、プロンプト作成時のコツをまとめたページです。
該当ページにアクセスし「Copy page」というボタンをクリックすると、全文のコピーが可能です。
Claudeのナレッジ登録画面を開き、「テキストコンテンツを追加」を選択して「コンテンツ」にペーストします。ペーストした中で、1行目はタイトルに該当するので、こちらはタイトルに移動させましょう。
「コンテンツを追加」をクリックすれば、ナレッジに追加できます。
- 質問を送信
「作成したいプロジェクト指示の概要」を質問しましょう。
この画像は、「インプットに対してイメージが湧くような図解を作成するプロンプト」と質問したときの回答を抜粋したものです。この出力そのものがプロンプトになっています。
出力結果の下にある「コピー」をクリックすると、プロンプト全体をコピーできます。このままチャットやプロジェクト指示に利用しましょう。
Claudeプロジェクトの効果を最大化する3つのコツ
Claudeプロジェクトは、使い方次第で回答の質が大きく変わります。そこで、プロジェクトを活用するためのコツを紹介します。
チャットごとに話題を分けよう
Claudeプロジェクトでは、1つのプロジェクト内に複数のチャットを作れます。そのため、話題ごとにチャットを分けておくのがおすすめです。
例えば辞書プロジェクトなら、「りんごの解説」「コーヒーの解説」といった具合にチャットを分けておきましょう。そうすることで、次のようなメリットがあります。
- 前回までの回答を引き継げるので、毎回説明を繰り返す必要がない
- チャットごとに内容が整理されるため、あとから見返しやすい
ちょっとした工夫ですが、スムーズに活用を続けるためにとても効果的です。
コラム:チャットのタイトルを変更する方法
チャット開始時、Claudeがデフォルトで内容に沿ったチャットタイトルを作成します。しかし、わかりづらいことが多いので、自分でタイトルを変更するのがおすすめです。
チャットを開き、チャットタイトルの右にあるボタンをクリックし「名前を変更」をクリックしましょう。
これで、チャットの名前を変更できます。
資料は整理してからナレッジに登録しよう
Claudeはナレッジに追加した資料をもとに回答してくれますが、資料の整理度合いによって回答の精度が変わることがあります。できるだけ、わかりやすい形式でまとめてからナレッジに追加するのがおすすめです。
例えば「カレーを作る」という目的に対して、次の2つの資料があったとします。
- 例1:カレー、豚肉、にんじん
- 例2:カレーを作るための食材→肉:豚肉、野菜:にんじん
一見似ているようですが、後者のほうが構造や意味が明確なため、Claudeも文脈を正確に把握しやすくなります。これは、人間が資料を読むときと同じです。情報の前提が抜けていたり、項目が整理されていない資料は、読み手に余計な負担を与え、誤解や認識のズレの原因になります。
Claudeプロジェクトでは、曖昧な情報も解釈してくれようとしますが、あまりにもわかりづらい文章だとそれにも限界があります。ナレッジは「他の人に渡しても迷わないか?」を意識して整理しておくことが、精度の高い回答につながります。
古いナレッジは削除して精度を保とう
ナレッジは常に最新の情報を保つようにしましょう。古いナレッジが残っていると、Claudeの回答に不要な影響を与え、誤った情報が出力されてしまうことがあります。
例えば、ある商品の価格をナレッジに登録した後、その価格が変更された場合、古い価格情報を削除せずに残しておくと、Claudeが間違った価格を参照してしまう可能性があります。
使わなくなった情報は削除するのが基本と考えましょう。
まとめ|Claudeプロジェクトを使ってみよう!
Claudeプロジェクトは手元の資料(ナレッジ)と目的に合わせた指示を事前に設定でき、会話のたびに同じ説明を繰り返す必要がありません。そのため、一度設定すれば長期的に利用できるのが通常のチャットとの大きな違いです。
設定が大変だと感じる方も、今回紹介した手順で迷わず進められます。まずは記事内のサンプルを参考に、ひとつプロジェクトを作って試してみましょう!
きっと、その便利さを実感できるのではないでしょうか。
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